vol.23 抜歯したくない!それでも「抜歯」に納得できた理由とは?
納得がいかず、セカンドオピニオンで40代女性が来院。
40代女性が「左下の奥歯が腫れている」を主訴に来院されました。
かなり以前に、他の歯科クリニックで治療をした部位で、その歯科クリニックに行ったところ、治療をしてもらえず、様子を見るように言われたため、納得ができず当院に来院されました。
痛みも症状もないから、抜歯はしたくない
レントゲンで診たところ、広範囲にわたって感染が広がっていました。歯根破折(根が割れている)の可能性を説明し、確かにこれは、抜歯か様子見になるのが一般的なケースでしたので、その先生も決して間違った診断ではなかったことも説明しました。しかし、ご本人としては「腫れているが、痛みなどの症状がない」状態なので、抜歯には納得できないとのこと。確かに患者さんのお気持ちもわかりました。
まずは、マイクロスコープで精密根管治療をして様子を見た。
「どうしても抜歯はしたくない」とのご希望でしたので、私どももできる限りの手を尽くしました。
まずはマイクロスコープを使って精密根管治療を実施して経過観察してみましたが、治療後も腫れた部分は一向に変わりませんでした。そのため次の手段に移りました。
次の手段として、再植治療をしてみたところ、破折線を発見!
次の手段は「再植治療」です。歯を一旦抜いて、お口の外で精密根管治療をしてから、元に戻す施術です。スピードと技術が勝負になる手術です。歯を抜いて、根の先端をよく見てみると、2本の根っこの外側の先端部に破折線が入って割れていることに気付きました。腫れと感染を起こしている原因をやっと特定できました。根管治療をしているときに、マイクロスコープで破折している状況がわからなかったのは、外側にヒビが入っていたためでした。この状況では、再植ができないため、画像を拡大して患者さまに見ていただきました。実際の患部を見て、ご本人も納得されて、最終的に「抜歯」をすることになりました。
抜歯になったけど、患者さんの「納得の抜歯」になりました。
冒頭でも書きましたが、通常の歯科医院では、このケースでは抜歯か経過観察になるでしょう。しかし当院には、歯科用マイクロスコープが3台あり精密根管治療ができ、再植治療も行っています。そのため、抜歯の前に2つの治療の選択肢があったため、今回最終的に抜歯にはなりましたが、患者さんの中での納得感の高い抜歯になりました。
納得のいかないまま治療を進めることは、不信感につながります。それは患者さんにとっても我々にとっても不本意な結果になってしまいます。そのため当院では、なるべく患者さんに納得していただいた上で、治療を進めていけるように心がけております。疑問に思うことは何でもご相談ください。