vol.14 銀歯調整 → 抜歯 → 3件目に当院へ「抜きたくない!」30代男性の症例
30代男性が、3件目に当院にご来院されました
もともとは、1週間前から痛みと違和感があり、最初に以前からのかかりつけの歯医者さんに行かれたそうで、その時は、噛んだ時に強い痛みが出る程度だったとのこと。またレントゲンでも異常がないと診断されて、銀歯の表面を削り噛み合わせの調整をしてもらった。その3日後に、歯が浮いてくる感じと痛みが強くなってしまったため別の歯医者さんに行ったところ「抜歯」と言われた。それでも「どうしても歯を抜きたくない!」と強い想いでWebで探されて、3件目に当院にご来院されました。
根のまわりの骨が大きく溶けていた
レントゲンを撮影して、向かって右下の奥から2番目の歯(第1大臼歯)の根の周りの骨が大きく溶けているのがわかりました。そして、頬っぺた側の歯ぐきには、ポコっと腫れたデキモノ(歯科用語でフィステルと言う)がありました。これは、歯の根の内部に溜まった膿の出口になっているデキモノのため、内部の状況を予測できました。
まずマイクロ根管治療。もしも、根が割れていたら抜歯。
レントゲンと目視だけでは、根の中の様子まではわからないため、まずは歯を抜くリスクを最小限にとどめるための「マイクロスコープを使った精密根管治療」をご提案しました。根管治療を進める中で、根の中の様子がわかるため、万が一、「歯の根が割れていた場合は抜歯するしか選択肢がない」旨をていねいに説明したところご納得いただけたため、精密根管治療をスタートしました。正直なところ、骨が溶けている範囲が大きかったため、精密根管治療だけで治る可能性は50%くらいを想定していました。 歯の神経治療(e-ヘルスネット)
良くなったり元に戻ったり…、根管治療は6ヶ月に。
実際に、精密根管治療をはじめて、患者さまには約2週間に一度のペースでご来院いただき、「根の内部を削っては殺菌して様子を見る」の繰り返しです。膿も止まり良くなってきている反応はあるものの、治療してもまた再発する状態が続きました。結局、根管治療の最終的なお薬をいれるまでに、月2回の根管治療を6ヶ月続けていただくことになりました。期間はかかりましたが、患者さんの一番の希望であった「歯を抜かず」に、膿もデキモノも消え、精密根管治療のみで骨も回復できたため、患者さまにはとても喜ばれました。
骨もしっかりと回復!とても喜んでいただきました!
骨の吸収が大きかったため、治療後のメンテナンスにもきちんと通っていただいてします。初診時と3年後の骨の様子を比較しました。きちんと回復しています。「歯を残したい」想いの強かった患者さまは、とても喜ばれ、とても感謝をしていただきました。
根管治療は二人三脚での強力が成功の秘訣
根管治療は、根の内部の状況によっては、治療完了までにこのように時間がかかる場合もあります。今回、私どもも万全を期すまで根気強く根管治療を続けさせていただきましたが、何よりも、患者さんご自身の努力に感動しました。患者さんご自身が「抜きたくない」一心で頑張って辛抱強く通っていただいたことが治療の成功につながりました。